フロン点検報告書の正しい記入方法と提出先

フロン点検報告書の正しい記入方法と提出先

フロン排出抑制法の改正により、業務用の空調機器や冷凍冷蔵機器を所有する事業者には、フロン類の漏えい防止のための点検が義務付けられています。この規制は地球温暖化対策の一環として重要な役割を果たしており、適切な機器管理と環境保護の両立を目指しています。本記事では、フロン点検の基本的な知識から具体的な実施方法まで、実務に役立つ情報をわかりやすく解説していきます。

フロン点検報告書の正しい記入方法と提出先

フロン点検は、業務用冷凍空調機器からのフロン類の漏えいを防止するために実施する定期的な検査です。機器の適切な維持管理を通じて、地球温暖化の原因となるフロン類の大気への放出を抑制することが主な目的です。点検には「簡易点検」と「定期点検」の2種類があり、機器の出力規模によって実施頻度が定められています。特に、機器管理者には点検記録の保存が3年間義務付けられており、違反した場合は罰則の対象となる可能性があります。

 

【具体例】
冷凍冷蔵ショーケースを使用するスーパーマーケットの場合、7.5kW以上の機器については、年4回の簡易点検に加えて、年1回の定期点検が必要です。

 

2. フロン点検の具体的な実施方法とチェックポイント
フロン点検では、機器の外観点検から始まり、運転状態の確認、漏えい箇所の特定まで、システマティックな手順で実施します。簡易点検では、熱交換器やシーム部分の腐食、破損、油にじみなどの異常がないかを目視で確認します。また、運転音や振動の異常、温度センサーの数値なども重要なチェックポイントとなります。定期点検では、専門の資格者が直接触診や専用の検知器を使用して、より詳細な検査を行います。

 

【具体例】
ビルの屋上に設置された空調室外機の場合、配管接続部からの油にじみ、異常振動、運転音の変化、冷却不足などの症状を定期的にチェックし、異常が見られた場合は速やかに専門業者に連絡します。

 

3. フロン点検報告書の正しい記入方法と提出先
フロン点検報告書の作成には、正確な記録と適切な提出手順が不可欠です。報告書には、点検日時、点検者の氏名、フロン類の種類、機器の設置場所、漏えい点検の方法と結果を漏れなく記入する必要があります。特に重要なのは、漏えい検知器を使用した場合の検知値や、漏えいが確認された場合の詳細な状況の記録です。報告書は、事業所ごとに取りまとめ、都道府県知事または政令市長に提出します。電子システムを利用した報告も可能で、フロン排出抑制法電子報告システムを通じて行うことができます。点検記録は機器の廃棄まで保存が必要となり、立入検査の際には提示を求められる場合があります。

 

具体例:
・冷凍冷蔵庫の場合:設備容量、使用冷媒の種類、圧力値、漏えい検知器の測定値を記録
・空調機器の場合:室外機の設置場所、運転時間、定期点検の実施日、異常の有無を詳細に記入
・大型設備の場合:複数台ある場合は、各機器に管理番号を付与し、一覧表形式で記録を管理

 

フロン点検と報告書の作成は、環境保全と法令遵守の観点から極めて重要な業務です。定期点検の実施、適切な記録の保管、そして正確な報告書の提出は、事業者の重要な責務となっています。特に、フロン排出抑制法の改正により、報告義務がさらに厳格化されており、違反した場合は罰則の対象となる可能性があります。事業者は、自社の機器管理台帳を整備し、点検・記録・報告の一連のプロセスを確実に実施することが求められています。また、効率的な管理のために、専門業者への委託や管理システムの導入も検討に値する選択肢となっています。定期的な社内研修や担当者への教育も、確実な実施のために重要な取り組みとなります。

 

エアコンフロン点検